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社会科科目では、知識を問う問題(いわゆる「暗記問題」)が多く出題されます。例えば、以下のような問題が典型的です。
このような問題に答えるためには、各選択肢が歴史的事実かどうかを判断する必要があります。歴史的事実は教科書や参考書に書いてあるので、教科書・参考書の内容を暗記していれば、この問題に正解することができます。
コ ンピュータは無尽蔵にデータを記憶できるので、このような問題はむしろ得意と思われるかもしれません。しかし、実際にコンピュータが得意なのはデータの丸 暗記(一字一句正確に覚えること)であり、内容を記憶しているわけではありません。したがって、教科書・参考書を丸暗記するのではなく、その内容(つまり 知識)に基づいて判断ができるようなしくみが必要です。自然言語で書かれた内容を理解し、知識として活用するということは、自然言語の意味を理解することと言えます。これは自然言語処理の研究において重要なテーマであり、未解決の難問ですが、自然言語に関わる様々な応用において鍵となる技術でもあります。
2つの文 t1, t2 が与えられ、「t1 が正しいと仮定したとき、t2も正しいと言える」かどうかを認識する技術を、自然言語処理では含意関係認識と言います。含意関係認識を応用すると、上のような問題を解くことができます。例えば、この問題の選択肢①については教科書に以下のような説明があります。
この説明を見ると、①が正しいことが分かります。これは、以下のような含意関係認識を行っていることに相当します。
人間にとっては当たり前の判断ですが、今のところコンピュータにはこの判断ができません。現在、含意関係認識を高精度で行うための手法について研究を進めています。
また、NTCIR ワークショップで含意関係認識をテーマとした RITE タスクを開催しています。センター試験の問題から作成した評価データも提供しており、含意関係認識の研究を通して知識を問う問題にアプローチする研究を推進しています。
兵制や兵士について述べた文として最も適当なものを,次のうちから一つ選べ。
① イェニチェリは,オスマン帝国の常備軍であった。
② ポエニ戦争後,重装歩兵として従軍した農民層は経済的に豊かになった。
(2009年度センター試験 世界史B)
このような問題に答えるためには、各選択肢が歴史的事実かどうかを判断する必要があります。歴史的事実は教科書や参考書に書いてあるので、教科書・参考書の内容を暗記していれば、この問題に正解することができます。
コ ンピュータは無尽蔵にデータを記憶できるので、このような問題はむしろ得意と思われるかもしれません。しかし、実際にコンピュータが得意なのはデータの丸 暗記(一字一句正確に覚えること)であり、内容を記憶しているわけではありません。したがって、教科書・参考書を丸暗記するのではなく、その内容(つまり 知識)に基づいて判断ができるようなしくみが必要です。自然言語で書かれた内容を理解し、知識として活用するということは、自然言語の意味を理解することと言えます。これは自然言語処理の研究において重要なテーマであり、未解決の難問ですが、自然言語に関わる様々な応用において鍵となる技術でもあります。
2つの文 t1, t2 が与えられ、「t1 が正しいと仮定したとき、t2も正しいと言える」かどうかを認識する技術を、自然言語処理では含意関係認識と言います。含意関係認識を応用すると、上のような問題を解くことができます。例えば、この問題の選択肢①については教科書に以下のような説明があります。
東地中海の強国―オスマン帝国
... イェニチェリ軍団は,軍楽隊,工兵隊,大砲隊,鉄砲隊などをそなえた皇帝直属の常備軍で,のちにヨーロッパで発展する近代的陸軍の先がけであった。
(東京書籍 平成19年度 世界史B)
この説明を見ると、①が正しいことが分かります。これは、以下のような含意関係認識を行っていることに相当します。
t1: オスマン帝国のイェニチェリ軍団は,軍楽隊,工兵隊,大砲隊,鉄砲隊などをそなえた皇帝直属の常備軍で,のちにヨーロッパで発展する近代的陸軍の先がけであった。
→ t2: イェニチェリは,オスマン帝国の常備軍であった。
人間にとっては当たり前の判断ですが、今のところコンピュータにはこの判断ができません。現在、含意関係認識を高精度で行うための手法について研究を進めています。
また、NTCIR ワークショップで含意関係認識をテーマとした RITE タスクを開催しています。センター試験の問題から作成した評価データも提供しており、含意関係認識の研究を通して知識を問う問題にアプローチする研究を推進しています。